ハート泥棒

15歳ではじめてを失って以来…それから経験はゼロのあたし。


このままじゃいけないって思ってるけど、体が無理って先に思っちゃう。


あの日、下腹部の奥に感じた痛さはもう忘れたけど…今でも胸に感じた激痛は忘れられなくて。




卒業式の前日。


『卒業式が終わったらさ…。非常階段の所に来て?』


廊下ですれ違った時、あまりにも唐突に言われたから、最初は誰に言ったのかさえわかんなかった。


でも、あたしの目を見て…海斗がそう言ったんだ。


式が終わったら、別々の高校に進むことになっていた2人。


あたしに最後の挨拶でもするつもり?


2人の関係が終わってるってわかってても、まだハッキリ海斗の口から言葉を聞く勇気はなかった。



だって、あたしはまだ……

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