ハート泥棒
ポーチと一緒に手に取っていた…ちっちゃなハート柄の袋。
「こんな時に顔出さないでよ…」
袋を触っただけでもわかる、この中に入れてある…大切であたしがずっとずっと
───欲しかったモノ。
「持ってるだけならいいよね?」
なぜか手放すことができなくて、気がつけばいつも持ち歩いていた。
それが自分でもどうしてだか……わかんないけど。
「ハハッ…やっぱり、これ触ると落ち着く…」
そして、少しだけ…胸を打つリズムが速くなっていくんだ。