ハート泥棒

いつも学校からの帰り道、あたしの手をつなぐ…ゴツゴツとした海斗の手がすごく好きだったのに


この時は、知らない人のような手であたしの体に触れていた。


あたしの頬に優しく触れると…それから首筋をゆっくりと撫でて、鎖骨にぎこちなく触れた後。


いきなりブラウスの下から侵入してきたから…大きな手にビックリして、小さな胸は爆発音を立て始める。


触れられた指の先から走る熱い電流に、あたしの体は“ビクッ”と震えた。


この時、あたしは強く瞼を閉じて…我慢していたのかもしれない。


その間にも、自分の体を覆うモノが1つ1つ…静かに剥ぎ取られいく。



『樹里、怖いなら正直に言って?』


『…ううん。大丈夫…』



今まで生きてきた中で1番怖かったくせに、あたしは嘘をついた。


海斗のことが好きだったから、嫌われたくなかったし…。


あたしも遅かれ早かれ、海斗といつかこうなることはわかってたから。



だけど、15歳のあたしは…なに1つ本当はわかっていなかったんだ。

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