ハート泥棒
しばらくの間、潤が考え込む。
だけど、潤に考える時間があるわけもなく…
「…海斗の鬼」と言いながら、すぐに交渉は成立した。
「まぁ、よかったよ。リカ、約束すっぽかしたらすっげぇ怒るから!」
「そっか」
その時、“約束”と言う言葉を聞いて、いつだったか…アイツと交わしたあの日の約束がふと頭に浮かんできた。
『ねぇ、海斗。絶対に守ってよっ!』
俺の指にギュッと強く絡ませてきた細い小指。
『何度も言わなくてもわかったって!』
バカかもしんねぇけど、あの日の約束を信じていたのは俺の方かもな…。