ハート泥棒
その約束って言うのは、学校中に伝わっていた“ジンクス”みたいなモノ。
だいたいそんなバカげたことを信じるのは、女の方なのに…。
樹里が俺にその話をしてきた時、本当にそうなったらいいのに…って思ったんだ。
誰が、いつ考えたのかもわからない話を純粋に信じていた…あの頃。
「海斗、どうかしたか?」
「べつに…」
「待ち合わせは駅前にある店なんだけど、何時に来れる?」
「そうだな。早くても8時半は過ぎると思う」
「わかった。悪かったな。明日のランチもおごってやるから!」
口には出さなかったけど、あの日の懐かしい約束を思い出させてくれただけで、潤に感謝してたのに
この後、信じられないことが待っていたなんて…。