ハート泥棒

──ギィーッ…


願いが通じたのか…大きな扉は開かれ、目の前には小さな明かりが灯る非常階段が現れた。


4年前果たせなかった“約束”と…カミングアウトのはじまり。


樹里が約束を忘れてても…もう俺のことを吹っ切れていても


今、言わなきゃ…きっと後悔するに違いない。


「どうして…ここに?」


「俺さ…式の後。お前がずっと口にしていた約束を果たそうと思って…ここで待ってたんだ」


あの日…伝えられなかったことを1つ1つ言葉にしていく。


「いつだったか、俺の第2ボタンが欲しいって言ってただろ?」
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