ハート泥棒
──2人の気持ちがずっと離れない。
「俺…お前と気まずくなってからもずっと樹里のことが気になってた。でも、お前に避けられるの怖くて…話しかけられなくてさ。だから最後にこのボタンと一緒に俺の気持ちをもう1度樹理に伝えたかった」
「海斗の気持ち?」
樹里が戸惑った目で俺の顔を見ている。
困らすつもりはないんだ。
でも、最後まで聞いて欲しい。
「俺…ずっと樹里のことが好きだった。その気持ちを込めてボタンの後ろに樹里の名前書いて待ってた。でも…渡せなくて、ちょうどこの辺に置いて帰ったんだ」
非常階段の隅の誰も気づかないような場所に…置いた第2ボタン。
誰かに捨てられただろうけど、できれば…樹里の手に渡したかった。
そしたら、今でも一緒に……