ハート泥棒
って…俺、情けないよな。
「でも…今日、樹里と会えてよかったよ」
言えなかった想いを伝えられたから。
これで今度こそ、前に進める…そう思った。
すると…樹里が突然
「なに1人で勝手に終わらせてるの?」
「どういうことだよ?」
「あたしの話も聞かないで…」
そう言ってる樹里は、なぜか鼻をグスグスッと鳴らしていて。
こっちを見てる瞳は…あの日のように潤んでいるように見えた。
「これ…あたしが1番大切にしているモノだよ」
樹里が白いバッグの中から小さな袋を取り出した。