ハート泥棒
「それ開けてみて?」
不思議に思いながら…その袋を開けてみると、その中から出てきたのは…ボタン?
「これって…まさか…」
逸(はや)る気持ちを押えながら、その裏面を見てみると──・・・
「えっ?なんで…名前が2つ?」
俺があの日渡そうと思って書いた名前は【樹里】だけのはずなのに、その隣にハートマークを挟んで【海斗】と書かれてあった。
何度、見ても見間違えじゃない。
「グスッ…。あたし…遅れちゃったけど、あの日ここに来たの。で…それ、見つけたんだ。すっごく嬉しかった」
その時…樹里の眼尻から涙が流れた。
「でね…海斗があたしに残していってくれた最後のプレゼントって思ったの。海斗が自分の名前を書いてくれている理由はわからなかったけど、その隣に海斗の名前を書いて…ずっと大切に持ってた」