緋女 ~前編~
「___なんなのよ」
彼が突然消えてから少し経って気がついたように私はそう言った。
仕方なしにこれからの一週間のためにとりあえず事務局に向かう。
しばらく歩いていると、なぜか窓があったので覗くと空があった。
「結局空を作るなら、地下に学校なんて建てなきゃいいのに」
なんでなんだろう?
首をかしげつつ、先に進むとオヤジ先生は嘘をついていなかったようで、事務局についた。
「あの、今日からこの学校にお世話になることになりました、ヒメリアという者なんですが」
「はい、お待ちしておりました。これが我が校の制服となっております。寸法はお送りいただいた通りになっておりますが、一度着て何かあれば遠慮なく申しつけ下さい」
そうてきぱきとした中年女性が私に対応してくれる。とても助かった。
「あと、この学校の生徒が全員身につけているものです」
そう言って、彼女が革手袋っぽいものを差し出す。
デザインはカッコいい。
でも、こんなものなぜ?
「えっと、これしてなきゃいけないんですか?」
とりあえず、聞いてみる。
「つけなきゃいけない、というか便利なので学生の皆さん全員つけてますよ」
「便利?」
「試しにつけてみたらいかがですか?」
面白そうに私を見る彼女に、素直につけてみることにする。
何も起きない……。
「えっとー」
彼女をちらりと見ると、こちらに微笑んできた。
「それで、耳をふさいでみて下さい」
「はい………あっ、なんか言ってる?」
右手で耳を片方ふさぐと何か聞こえてきた。
「今はちょうどお昼なので、色んなチャンネルがやってるはずです。親指で人差し指を軽く押して見てください」
言われた通りにすれば音が変わる。
「すご………」
魔法学校、恐るべし。