緋女 ~前編~


その予想もしなかった海の底より静かな声に心奪われる。



初めて誰かの世界に私がいる気がした。



無表情で業務的口調で言われたのは分かってる。
でもそのゴールドアイにシュティ・レヴィアでも何でもない私が映っている。


その事実が彼の話した内容よりも心に響いた。


彼自身もそんなことを言う気はなかったらしい。

 
「なので、自分がこの世で一番可哀想な振りはやめてください。うざいので」
と、付け足す。


さっきのことで嬉しかった私は素直に頷く。 

するとベットに座っていた彼は立ち上がって私をじっと見つめる。


「Mなんですか?」

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