緋女 ~前編~
揺れる心は非女の娘がために
一昨日のことだ。
俺に命令が下った。
こんなに上手く事が運ぶとは、さすがに思わなかった。
国王陛下サマに呼び出された時にはその内容に薄々気がついていたにも関わらず、嬉しすぎてその命を受けた時に表情が崩れていないか心配になったほどだ。
この血濡れた我十二年に失ったものを取り戻す。
それだけが俺の生きる理由だった。
そのためなら殺しもした。
蹴落としもした。
心底憎い奴にも頭を下げた。
そうやって手にいれたこの国王陛下直々の命。
愚かな王だ。
これで全ての駒がそろった。
そう
昨日はその最後の駒を拾いに行ったのだ。
シュティ・レヴィア___。
非女の娘を。