緋女 ~前編~
私がそう言った瞬間、ショウは笑った。
「うわー、困っちゃうな。愛の告白をレヴィからもらっちゃったよ」
それは伝わったか、よく分からないような反応。
「愛の告白なんかじゃないから」
「照れなくても大丈夫だよー?でも、本当にモテる男は辛いよねー」
「自意識過剰なだけでしょ」
そう毒づくけど心の中で息をつく。
たとえ伝わってなくても、いつも通りのショウに戻ったから、それでいい。
「あっ」
「ん、なに?レヴィ」
「そういえば、どうやってここ分かったの?………私、この部屋にたどり着くのに結構苦労したんだけど。しかも、ショウのせいで」
思い出して、顔をしかめる。
「僕のせいで?」
「ショウの追っかけみたいな子が絡んできたの」
私のその言葉にショウは真剣な顔をつくった。
「………レヴィ、それって嫉妬?」
「なんでそういうのと結びつけるわけ?違うわよ」
「そう?」
人を殴りたいとここまで思ったのは、これも初めてかもしれない。
「怒らないでよー。レヴィって意外と分かりやすいよね」
「そんなことないし」
「あるよ。………あー、そうだ。僕がどうしてここまで来れたかだけど、これだよ」
そう言って、目の前でヒラヒラと手袋を見せつける。
「___先生だけじゃなくて、ショウも人の居場所が分かるの?」
「そういうことー」
笑ってそんな恐ろしいことを言う少年を励まそうと思ったなんて驚きだ。
「ショウもそうだけど、みんな不意うち過ぎる」
思わず私はそうぼやいた。
が、次の瞬間それを後悔することになる。
「みんな?………僕以外にも誰か来たの?」
ショウの瞳が怖い。