緋女 ~前編~
噂が本当だとしても、彼女がこちらに帰るかどうかは誰にも分からなかった。
非女の言葉を直接きいた国王陛下もそれについては確証がないのだろう。
無駄足になるかもしれない、そう俺に言ったから。
その言葉に最初で最後の機会だと俺は思ったら、自然と言葉が口から出ていた。
『………陛下は、彼女が帰還するとしたらどうされるおつもりでいらっしゃるんですか?』
『___それは会って決めようと思っている』
何の答えにもなっていないような答えに少しイラついた。
思わず鋭い視線で国王陛下サマのことを見たのを覚えている。
だが、その自分と同じゴールドアイの色に納得した。
俺の計画も彼女次第である、__そういうことだ。
『では彼女が帰還した場合、明日のうちに陛下の御前にお連れしますか?』
『いや、明後日の午前までにやることがある。明後日の二時にここだ。いいな?』
『承知しました。では帰還の報告だけ陛下に影を送っていたします』
『そうしてくれ』
そして俺は彼女と必然的に再会した。
もう覚えていない、全てを失った日より前より大きくなった彼女に。