緋女 ~前編~



約束の時間までのカウントダウンは、嫌になるほど焦れったかった。



国王は俺を選んでここに送り込み、彼女の一切全てのことを自分に任せたが、それは間違いなのではないかと思い始める始末だ。



彼女が自分よりも強かったら?

ここに来るまでそんなに不安なかったように思う。だから、こんな思いをするのはこの鏡のせいだとばかりに俺は自分を睨み付けた。


鏡の中の自分は黒髪、黒の瞳のケイではなく、金髪でゴールドアイの本来の自分だった。


最初に見たとき、鏡に自分の正体を見破られて動揺した。

自分の思惑が全て見透かされている感覚が今もある。



どうして愚かな王はこの鏡を残した?



壊してしまえば、彼女が帰還することもないのに。



俺は初めて上手くいきすぎてると不安になった。




そしてこの鏡はそういう鏡だった。


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