緋女 ~前編~
約束の時間、
彼女は非女の魔力に包まれて、鏡から飛び出してきた。
いや、正確には倒れ込んできた。
とっさに受け止めた彼女をまじまじと見て思った。
………寝てる?
何かの罠か、本当に寝ているのか分からなかった。揺さぶって見るが起きない。
『………おいおい』
気後れがした。
この瞬間、俺は彼女を殺すことができただろう。
無防備な寝顔、強く抱きしめれば折れるほどの華奢な身体。
だがミステリアスな白銀の髪に一筋見える金色の髪。
彼女は間違えなく
シュティ・レヴィアだ___。