緋女 ~前編~
だから、思うんだ。
今度ケイに会ったら、私は彼に精一杯の好きを伝えよう。
そう思うの。
だって、蘇った記憶の中でケイ、貴方は何回も私にこう言うわ。
“___もう、お前は信用しない”
それが、その心が孤独じゃなくてなんだというのだろう。
色んな誤解をして、ケイは混乱していた。私はその混乱の原因もよく分かんないままだけど、きっと彼はあの時私を信じていたいと思っていたはずなんだ。
だって、この学校に着いて別れたとき言ったでしょ?
“遅いんですよ、全て
仕方ないので約束は守りましょう”
その約束っていうのはあの時はなんてひどいって思った、きっとあれのこと。だけど、それが彼の精一杯の信頼の証だったってことも今なら分かるような気がする。
だから、私もケイに精一杯の信頼の証に好きという言葉を送ろう。
信じたくなくても、信じざるを得ない告白をしよう。
でも、これは決して彼のためじゃない。
私の自分勝手な正義の形。
さらに嫌われても、もういいよ。
ケイが少しでも私の言葉によって孤独から開放されるなら、私はきっと満たされる。
人を好きになると臆病な生き方しかできないと、偏見を持っていたけど違うね。
愛する人のために何かを選択する。
それはとても強く優しい自由な心だ。
ショウに言ったらそんなの自由じゃないと、文句を言いそう。