緋女 ~前編~
そう再確認した俺の耳に小さな音がかすめた。
ピキッ
何かひび割れたような響きにはっとして鏡を見ると、さっきまでの強い魔力が弱まって大きくひびが入っていた。
『嘘だろっ』
人よりも大きく作られていた鏡が崩れる___。
とっさに俺は彼女を奥に突き飛ばす。
パリーン
綺麗な音がした。
半瞬遅れて前に手を出す。
そして作り出した魔力のバリア。
割れた鏡の破片がバリアに刺さった。
非女の残った魔力と自分の魔力が拮抗したことに焦る。
だが、それも長くは続かなかった。
非女の魔力は尽きた。
あの非女が死んだ___。