緋女 ~前編~
そして今日。
まだ寝ている彼女を見つめている。
俺も睡眠はとったが、やはり昨日の魔力の激しい消耗おかげで少し身体が重い。
そうして自分が休むためという理由を作り、彼女を起こそうとは思わなかった。
だが、流石に十時半をまわった時計に彼女を起こそうかと初めて悩み始めた時、彼女の顔の眉間にしわがよった。
起きるのか___?
そう思った時、何故か俺は咄嗟に寝たふりをした。
しばらくしてした布団の引っ張られる感覚。俺に邪魔された彼女はとうとう起き上がる。
あれっ、気づかない?……というか無視か?
薄目で状況を確認しようとしたが、それは彼女によって阻まれた。