緋女 ~前編~
「………シュティ・レヴィアじゃないなら、誰なんだよ?」
それは彼女への質問ではなかった。
この女は一体なんなんだと頭が痛くなって、そんな気分をまぎれさせるために放った独り言のようなもの。
「レヴィアじゃない人」
彼女は俺を怒らせるつぼを知っているらしい。
俺はその言葉に完全に頭がのぼせた。
「なめてんのかよ。お前の名前は何だって聞いてんだ」
完全に口調が変わる。
人を斬って生活していた人生の最低に荒んでいた時期のものとよく似てるなとどこかで思う。
あーそうか、これは___
「なめてなんかない。なめてるのはそっちでしょ? さっきから聞いてれば好き放題言って失礼な」
どーでもいい虫けらへのどうしようもない殺気だ。
「私の名前はね___」