緋女 ~前編~



頭は悪くないと自負する私は、その言葉に半分反抗するように窓の外に視線を戻す。



そして私はまた見なきゃ良かったと思う___。




太陽が割れるのを見て。




否、重なった太陽が二つに別れるのを見て。




「………地球というものには太陽がひとつしかないと聞きました。あなたのいたところですよね」

「___そうよ。太陽はひとつ。二つあるはずがないの。一体なんでこんなことになってるの? 私が寝ている間にこんな……」

「ずっと昔から太陽は二つです」

彼の返答に私は答えられなかった。

「ここはあなたがいた地球じゃない」


背後から一切の感情も読み取れない声が私を理解出来ない境地へ突き落とそうとする。



「ようこそ、私たちの世界へ。そしてよくぞお帰りになられました。非女の娘、シュティ・レヴィア様」

その瞳を見たら面白がる彼が見れたかもしれない。



だが、私は目の前の現象に心奪われたままだった。



「お約束しました通りあなたにご説明しますよ。この世界、この国のことを」



彼の言葉が私の耳を素通りする。




「綺麗………」

「えっ」

「とても信じられないけど、この国の空はとても綺麗……」

なぜさっき気がつかなかったのだろう。

赤い太陽から顔を出した太陽は蒼く輝いていた___。


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