緋女 ~前編~

「えっ」

理由を聞いてくるとは思ってなかったので返答に困った。



「………変態だから?」



苦し紛れに言った言葉に彼は長く目を見張った後、

「喜んでくださらないんですか?」

「は?」

「すみません。女性は皆こういうのが好きなのだと思ってました」

「………」




この人、本気で言ってる?

「……………からかわないで」

「からかってませんよ。お似合いです」

「そういうことは無表情に言わないでしょ」

「私の笑顔は高いですよ」



知ってる。

でも見たくないから別にいい。

見たら………また苦しくなる。



「で?」

「で、とは?」

「説明を中断する理由っ」

「ああ、そうでした」



そして不敵な笑顔を作る彼。



確かに高くつくだろうその笑顔。

なんのために私にむけるの?




「レヴィア様、着替えのお時間です」

「そう。私もこの服脱ぎたかったの」

「そうでしたか」

そうして立ち上がってこちらへ歩いてくる彼に、私のさっきとは別の警告音が鳴り出す。




「お手伝いいたしますよ」

さも当然のように言う彼に私の背が窓に張り付く。



「はっ⁉」




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