僕らはきっと、あの光差す場所へ




「あ、ねえ、これどう? 上手く積めた気がする!」


 突然橘が声をあげたので、驚いた僕は手を滑らせてしまった。せっかくうまく積んでいた石が音をたてて崩れていくのを見てから僕は橘の方を見る。

確かに、ピラミッドのように積まれた橘の石は悔しいくらいバランスがとれている。見た目はデコボコだけれど。



「……橘のせいで、こっちの崩れたんだけど」

「私のせいじゃないよーだ! ていうかそれより、ほら、これ、うまいでしょ」

「全然。ふつう」

「うっそつっけ! 負け惜しみ禁止ー」

「デコボコな感じが橘に合ってるんじゃない」

「はいはいはーい、綺麗? ありがとありがと」

「都合のいい耳で何よりだよ」

「んー? なんか言ったー?」



僕も負けじと、鼻高々に自慢する橘を無視して石を積んでいくのだけど、これが意外と難しい。高く積もうとすればするほど、慎重にやらないとすぐに崩れてしまう。


「ねえ春瀬」

「……」

「はーるせ」

「……」

「春瀬ってばー」

「あー、なんだようるせえな!」



ガラガラ、まるで効果音でもついたかのように一瞬にして積み上げたものが崩れていく。またか、と思いながら橘をにらむと、彼女は何食わぬ顔で僕を見ている。



「……崩れちゃったねえ」

「誰のせいだと思ってんだ」

「ね、春瀬」

「なんだよ」

「お腹すいた」


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