僕らはきっと、あの光差す場所へ
そんな、生まれた時からこの町に住んでいる同級生たちが、顔なじみばかりの新生活を迎えた入学式。代り映えしないと駄々をこねる奴らばかりの中、一際目立っていたのが、———他でもない唐沢隼人だったのだ。
「入学式の時から、隼人は女子に騒がれてたんだよー。あんな人がいたっけ? どこ中出身だー? って。」
「……知ってるよ。上級生まで見に来てた」
「ね。なんていうか、トクベツ顔が整ってるだとか、飛びぬけて出来るものがあるとか、そういうのじゃないのにね。まあ、運動だけはできたけど……。なんていうか、隼人には、オーラがあるのかな」
「オーラ?」
「人を惹きつける何かが、隼人にはあるよ」
僕らが通う長坂高校は、高校一年から三年までクラス替えをしない。つまり、去年の春、唐沢がどれだけ騒がれていたのか、同じクラスの僕らが一番よくわかっていた。
他のクラス、上級生、終いには教師たちにも。唐沢はいい意味でとても目立つ奴だった。背が高くて明るくて、橘の言葉を借りれば『人を惹きつける何か』が、確かに彼にはあったのだと思う。
そして僕はいつもそれを、彼の背中を、眺めていた。
「そういう人間なんだろ。周りにいつも人がいる奴ってどこにでもいるもんな」
「小学校の時さ、誰が何を言わなくても、その子が運動場に駆け出していくとみんながそれについていくみたいなことあったじゃない? 隼人ってたぶん、その駆け出していく子なんだと思う」
「……ああ、そうだな」