【完】告白のスカイラウンジ

後輩の相葉君。

今年新卒で入って来たこの子は、面接の頃から目立っていた。



「雑誌で森田さんのインタビューを拝見して、この人と一緒に仕事をしてみたいと思いました。森田さんの『人を大切にする』という仕事観に惹かれました」



面接官をしていた私の前で躊躇なく言える度胸。

そして真っすぐ私を見つめる純粋な瞳に、私だけでなく他の面接官も魅力を感じた。


彼は、無事採用になった。

しかも私の直属の部下として。



相葉君は一年目なのに本当によくやってくれた。

イベントプランナーという仕事は、特に資格があるわけではない。

とにかく現場力を問われるわけで、基本的な知識もないまま私の部下として働くのは本当にきつかったと思う。

だから、



「僕、本当に幸せだったんですよ。森田先輩と働けて色々な人と関わる楽しさを知れたし、何より憧れだった森田先輩のことを知れたから」



この言葉は、何よりもうれしい言葉だった。

自分の厳しさから、何人か会社を辞めてしまったこと。

何度も何度も自分のしていることは本当に正しいのか考え続けた日々が続いた私にとって、相葉君の言葉は胸に響いた。

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