【短編】俺の彼女は宇宙一可愛い。
俺の彼女。
俺が指を離すと、ぴんぽーん、と随分古風なチャイムが間の抜けた音で響く。
おいおい、このご時世にこれはないだろ。
思わず笑いを零すと、丁度ドアを開けた彼女に見つかった。
「何笑ってんのー」
「え?いやぁ、相変わらず古めかしいアパートだなぁと」
「うるさいなー、古き良きってやつでしょー?」
あはは、と白く笑い声を上げる彼女は寒そうに既に鼻の頭を赤く染めている。
堪らず俺は声を上げた。
「早く上着着てこいよ、行くぞ」
俺の言葉に嬉しそうに笑って、こちらをチラチラとうかがいながら彼女はドアを閉めた。
何度も何度も、「待ってよ絶対!置いて行かないでよ!すぐ取ってくるから!ね!」と確認するのが可愛かった。
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