白い狐は出会いの季節





「……みんな、居なくなっちゃったね。」



「そう、ですね。」


その行動力とやる気をもう少しだけ、学生の義務でもある勉強に費やせないものか、私は何故か名前も知らないクラスメートたちに呆れていた。

ん?高校だから別に義務教育じゃないのか。


それにあの人達は違う世界を生きてるのだから、私の中の常識は通じないか。

呆れも勝手に深まり、何かを通り越して諦めていった。




「_味方が居ないみたいに話をしていたけど、違うだろ?」



「みんなで乗り越えようぜ!」



「俺らがいる」



何故か、頭の中でフレーズが浮かび上がってきた。

字面だけで判断すればただの綺麗事。


それに世間の流れに逆らってきた人達の発言だ、私になんて、関係ない。


「やだなあ、巻き込むって言ったって花楓ちゃんはもう十分踏み込んでるじゃん」


___あ。




「僕はこのあと十七夜さん達のところへ帰ります……けど、


真唯はなんの前触れもなく口を開いて、私に向き直った。


その言葉一つ一つが脳裏に焼き付いていくように、いや、焼き付けていくように私はそれを聞いていた。


一つ一つ飲み込み、理解し、そして、判断するため。



「桜井さんはどうしますか?」


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