白い狐は出会いの季節
「族一つ潰しといて、普通の暮らしに戻れる訳ないでしょ!」
「花楓、族になんか入っちゃダメよ」
言葉が、単語が、台詞が、まるでクロスワードのパズルのように交差していく。
そしてそれらをご丁寧に脳内で壊れたラジカセのように何回も、何回も発音していく。
「今はみんなの所にいきません?」
「君を僕らの仲間、チームにしちゃいます!」
「私、そんな法に触れることする人達と一緒にいたくないです!!」
「じゃあ真唯ともいたくないんだ?」
うるさい、うるさいな。
わかってるよ、ここが分岐点。まだ取り返しのつく場所だって。
ここで真唯から差し伸べられるであろう手を振り払って、何事も無かったかのようにすました顔で生きていくのが1番安全だってことも。
手を取って堕ちていけば命の保証はないし、明日、またあのクラスメートに混じって苦笑を浮かべるのかもしれないことも。
……今の今まで流されて来たけど、ここはちゃんと私が選択しなきゃいけないってことも。
「ね、桜井さんはどうします?」
真唯はどこか手招きしてどこかに誘うような微笑みで私の予想通り手を差し出した。
「一緒に来てください」、揺らがないその瞳がしっかりと私を捉え、そう語っていた。
……ごめん。
でも、