白い狐は出会いの季節
「は!?!?」



突然の事に反応出来なかったのは私だけじゃなかったらしい。


殴ろうとしてきた男子も、標的が姿勢をいきなり低くするから殴れなかった。



それどころか勢い余って壁に激突してしまう。



真唯はそれをギリギリのところで避けた。




「いってええええっ!!!」



それもそのはず。だって体育館がある建物の壁はコンクリートで出来ているからね。



壁から離れ、倒れ込んだ男子は鼻血を出していた。





私がおもっていたより出血が酷い。



鼻血を止めようとして男子は鼻を抑える。



すぐに手が血で染まる。



「うっ。」



私は血が嫌いだ。あまり見ていていいものじゃない。



赤だったそれは空気に触れて黒くなる。




血が赤なんて嘘だ。本当は真っ黒なんだ。




残りの男子はうろたえた。予想外の出来事に私も驚いている。





まぁ、私は何もしてないし、むしろ避けたし、自業自得と言っても過言ではないのだが。
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