白い狐は出会いの季節

[光side]




「......。」



「珍しいですね。十七夜さんがそんなに黙るなんて。」


ハンドルを握っている僕の隣で、真唯が話した。


「そんなに気になることだったんですか？電信柱は車にぶつかって壊れただけじゃ...。」



「いや、そんなはずないよ。」



真唯の言葉を、予想以上の勢いがある僕の言葉が遮った。




「確かに僕の車が与えた衝撃も相当だったろうね。...でも直前でブレーキを踏んだし車もそんなに凹んでなかった。


...普通、電信柱が壊れる程の衝撃が出たら車の方がぺしゃんこだよ。」




伊達に何回も事故を起こしてないからね、僕には分かるんだよ。


...あの事故現場は不自然だって。



「でも電信柱はガレキの山になるほど壊れてましたよね。


......あ！まさか、ぶつかる前に壊れたとか？」




「そう、そうなるんだよ。でも僕は確かにあの電信柱が壊れる前にぶつかったのを見たよ。そしてそこに居たのはあの気絶した男子生徒と、花楓ちゃんだけ。」



「ここで考えられる可能性は絞られてくるよ。

一つは男子生徒が電信柱に向かって殴った、そして壊れた直後に車がぶつかってきた。」



「でも、男子達、気絶してましたよ？」




「そう。普通電信柱を粉々に出来るほどの力があればガレキなんかで気絶しないよ。まぁ、自分で壊して、自分で気絶したら、ただの馬鹿だけどね！」





「......じゃあ、やっぱり、」




「へぇ？やっぱりって何さ？」



「！？」


ビクッと、真唯の肩が震えた。



「いや、何でもないです。」



「ねぇ、真唯こっち向いてよ。」



「嫌です。」



「ねぇ、真唯の悪い癖教えてあげよっか？」



「...。」



「真唯ってさ、何か隠し事する時絶対目を逸らすんだよね。ねぇ、何を隠してるの？」



「...。」


ぎゅうっと真唯は手に抱えた荷物を抱きしめた。



紙袋を見る限り高校の購買の紙袋だろう。


きっと、購買でそれを買った後に何かがあったんだろうね。


「へぇ、昼になんかあったんだね？」


真唯が青ざめていくのが分かる。


でも、僕の考えたもう一つの可能性が、本当だとしたら、







「ねぇ、真唯。



桜井花楓って何者なの？」