白い狐は出会いの季節
「今日は何すればいいの?」
「あんたが絡んできたばっかりの曇天の調査よ。」
麗はパソコンの液晶画面を指さした。
画面には沢山のSNSのプロフィール、トーク画面、そしてここら辺の地図で埋まっていた。地図には沢山のアイコンが付いているね。
「?何これ。」
「曇天メンバーのトーク画面。真唯が手に入れたアカウントをハッキングしてみたの。」
わぁ、流石。仕事が早いんだから。
「で?曇天が何?」
「最近急に勢力を伸ばし始めたでしょ?変な噂もたくさん溢れてる。クスリやってるだとか、女子生徒売ってるだとか。だから怪しいと思って調べたんだけど。」
「曇天のメンバーの一人が”あの”マフィアと連絡を取っていたわ。」
「!」
真唯も総長も麗の言葉で一気に固まった。
まぁ、僕もビックリしているよ。
「まだ、確証じゃないけれど、曇天が急に勢力を伸ばせた理由。それはマフィアの力を借りたからじゃないかしら?普通は手に入らない拳銃やクスリも、マフィアから。」
「じゃあ、僕は曇天を調べて、本当かどうか確かめればいいんだね?」
「ええ、そうね。だからあんまり目立った行動はして欲しくなかったんだけど。」
「悪いことしたってちゃんと反省してるよ。」
まぁ、本当にあのマフィアと繋がっていたら族ごと潰さなきゃなんだけど。
「...。...!桜井さん、桜井さんが危ないじゃないですか!!」
真唯が青ざめた顔で叫んだ。
「......?」
「桜井さん?真唯、誰のこと?」
総長と麗は首を傾げている。
桜井さん?あぁ、花楓ちゃんの事か。
僕は不意に時計を見た。
もう夜の7時半になろうとしている。
あの女子高校生は真面目そうだし、すぐに家に帰ってるでしょ。
「...ねえ。真唯。桜井さんって人、女子高校生じゃないわよね?貴方と同じ高校の。」
「...え?」
麗はパソコンを見つめていた。
曇天のメンバーのトーク画面らしい。
その画面には。
『総長さん
例の転校生捕まえてきました!』
緑の吹き出しが出た後すぐに、写真もトーク画面に上がってきた。
それは。