白い狐は出会いの季節
パシャ!!



何か音が聞こえた。



小さい音だけど、意識を起こすには十分な音だ。



「...う。」



まるで、夢から覚めるみたいに、



ゆっくりと覚醒していく。



「......。」



重いまぶたが上がった。



そして、同時に手首に締め付けられるような冷たい感触が。



「えっ...えっ!??」




いや、締め付けられるような、じゃない。


本当に縛られている...?



「え?!なんで?!」



足は地面に着いておらず、宙に吊るされているようだ。


できる限り上を見上げれば、


「...!」


ドラマでよく見る金属の手錠、そしてそれの上に何回も巻かれている鉄の鎖。



外そうと力を入れても、暴れてみてもガチャガチャ、と音を鳴らすだけだ。



「なんで...こんな...。」



頭がパニック状態になりかけている。



今日は非日常なことが続き過ぎた。








< 37 / 121 >

この作品をシェア

pagetop