白い狐は出会いの季節






「今、総長に連絡しました。」


「そうか。...あ、起きてるじゃねーか。」



周りを見ればたくさんの男達に囲まれていた。



見た目からしていい人達ではなさそうだ。



スマホをもっている男は...見たことがある。


顔を合わせるのは三回目か?


鼻に絆創膏が貼ってある。


そしてその隣の男は包帯で頭を巻いている。



ガレキの下敷きになった人たちだ。




じゃあ、この人達は曇天?...つまり、不良?!




「...!!離せよっ!!なんだよっこれ!!」



「うるっせえ!!黙れよ!!!!」



ドウッッッ!!!



男が一人殴りかかってきた。



「.....ぐっ、あ、うぅ...。」




痛みが全身に広がっていく。


痛みを抑えることも出来ず、ただ、呻くことしかできなかった。



「てめぇ、転校生の癖にいろいろやってくれたじゃねーか。」



「......。」



「俺ら曇天に手ぇ出したってこと後悔させてやるよっ!!!」



こめかみに血管を浮かばせて、ギロりと睨んでくる。





怖い。無理だって。なんだよこれ。



私が何したっていうの。



さっきまで震えていた体も、痛みのせいでダラリと垂れるだけだ。




「どう落とし前付けてくれるんだ、あぁっ!??」



そんなの私が聞きたい。


言葉を吐き出したくても、何も出てこなかった。



私、これからどうなるの。


なんでこうなったの。



「しばらくつき合ってくれるよなぁ?こっちは昼からやられっぱなしでストレス溜まってんだからな!!!!」



ほとんど自業自得じゃないか。



...でも何もかもが面倒くさくなって、



せめて、楽に死ねるようにと目を閉じた。
< 38 / 121 >

この作品をシェア

pagetop