白い狐は出会いの季節
「……で。あなたの言いたいことは何なの?」
「だーかーらー、あの桜井花楓って子絶対に何かあるって!!」
「あら、あなたも「あの子には闇がある」とかくさい事言うのかしら?その前に派手に曇天を荒らした言い訳をすればいいじゃない」
「あの子が潰したんですー。僕らじゃないですー。着いた時には曇天終わってたんですー」
まあ今は報告の様なものをしているわけだけど、なにせ現実味のない事だったから。
説明するのにも苦労するわけで、
「本当に大変だったんだよ?素手で殺されるかと思ったよ。総長は信じてくれるでしょ?」
麗への説得を諦め、総長、白狐業に話を振る。
「……。」
シワの深い大人の顔がゆっくり上がっていく。
「まず、そのさくらいかえでと話してからじゃないか?」
総長の言葉は、一つ一つ重い。
それが鶴の一声になる時もあるし、結論になる時もある。
総長の一言でさっきまでうるさくしていた僕達も言い合いを止めていた。