白い狐は出会いの季節
分岐点
家の中に入って、まず時計を確認した。
……もう日付が変わっていた。
「じゃあお風呂は明日の朝でいいや」
もう今は寝ることを優先しよう。
『学校でも仲良くしてくれると助かる』
不意にさっきの業さんの言葉を思い出す。
「学校でも」……???
小鷹みたいな非凡的な学校で手を差し伸べてくれた真唯、
凄くイラつく性格だけど私を何度も助けてくれた光さん、
どこか不思議なオーラをまとった女の人、
個性豊かなメンバーをまとめる総長、業さん、
一緒にいて、嫌じゃなかった。
曇天みたいな暴力団みたいな所だけど、私を助けてくれたし、
一緒にいて、怖くなかった。
「白狐組かぁ……。」
私にもし、どんな不良でも暴力団の塊でも一撃で倒せる程の力があれば、胸を張って「入ります」とでも言えたんだろうか。
でも。血を見るのは嫌だ。誰かを傷つけたくないし、殺すなんてもってのほか。
「私は、どうしたいんだろう」
でも、こんな街で独りで生きていけるわけない。