スカウト
プロローグ

ハロウィンの金髪ショート

ハロウィンの夜7時。
私は親友の相宮蓮とゾンビの仮装で渋谷を歩いていた。
蓮の趣味で選んだ衣装は金髪ショートで真っ白なコート、そして定番の血糊。
「楓、ちょっとだけ早くして。人に紛れて死んじゃいそう」
「うん、分かった」
「ねぇ君たち?」
私達は呆れ顔で振り向いた。
さっきからざっと数えて10人もナンパしてきている。
でも、彼は違った。
「私はISUZU 事務所の者ですが、君たちの名前を聞いていいですか?」
ISUZU 事務所というと、日本国内でも海外でも名の通る大きな事務所だけど、女は入れない、男性モデル、俳優の事務所だ。
そんな所の人が私達に話しかけて来るなんて、私たち何かしたのかな。
「相宮蓮です」
あたふたと無駄な事ばかり考えているうちに蓮は自分の名前を答えてしまっていた。
「そっちの君は?」
【ちょっと、蓮!何答えてんの!私は絶対答えないからね】
彼に聞こえないように小声で話していたのに彼は大体話が予測できていたらしい。
「いいよ、まだ会ったばかりだから信用できないだろうから事務所についてからゆっくり聞くよおいで」

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