小さな二人
キブシ~出会い~
「キブシ、、、山の中で時々見かける、のれんのような不思議な姿の花を咲かせる木、花言葉は「待ち合わせ」「出会い」「嘘」、、、
白くて小さくてかわいい花!
これ次の新作ブーケに使いたいな~!」
愛読している植物図鑑をうっとり見つめる私、五十嵐那月(いからしなつき)に対し、
「そんなボロボロの図鑑にうっとりするのにどうしてpoliceの裕様にはうっとりしてくれないのよ那月ーーー!」
愛読してるジャニーズ誌をギュッと抱え困り顔で訴えてくるのは親友の河西真由子(かさいまゆこ)
「あーうんうん裕様ねーー歌上手いよねーー
それよりも!キブシ山の中でしか咲いてないのかなー?地元の花屋さんになんかないよねー」
「ほんっとに那月は花バカなんだから!」
私が通う高校は農業高校だ
その中でも私はフラワーデザイン専攻科の三年生
ずっと憧れていた綺麗な世界
やっと入学して、三年生になって本格的にデザインが出来るようになった
バカにならないほうが勿体ないじゃない、、、
「ああ!昼休み終わっちゃうよ!移動しよう!」
「ほんとだ!急ごう!」
二人の愛読本もそのままに、教室を出ようとした
「那月!」
そのとき私を呼ぶ一人の愛しい声
「隆(りゅう)!」
「那月今日バイトは?」
「ないよ」
「よかった!なら部活終わるの待っててもらっていい?一緒に帰ろう」
「うん!いいよ!」
「サンキュ、那月」
「ちょっと!私いるのにイチャイチャしないでよー!那月置いていくからね!」
「あ!ごめん!
じゃあ、隆放課後ね」
「おう」
数メートル先をいく真由子に駆け寄る
「ほんと、花しか興味なさそうなのに彼氏いるんだもんねー那月は!」
「失礼ね~(笑)」
付き合って二年になる隆。
優しくて背もすらっと高くて自慢の彼氏だ。
私なんかと付き合ってるのが不思議なくらい。