小さな二人



最後の言葉が涙声になってこぼれた。



バレるな、と願い必死に涙を我慢した。



『だよなー…そうだよな、分かってた。』



最後の言葉はほとんど聞き取れないくらい小さい声だった。



『ごめんな…』



「ううん…隆、ちゃんとあの子のこと大切にしなきゃだめだよ」



なんて強がりな発言に『強がんなって』と湿った声で言った。



「じゃぁ、切るね」



『うん…じゃあな…』



「―――ばいばい…」



そう言って、私の方から通話終了のボタンを押した。



それから我慢してい涙が一粒、二粒、零れて、止まった。



「あ、れ…なんで止まるのよ…」



この状況的には大声で思いっきり泣きたいところだが、もう涙は流れようとしていない。



そして、もっとも不思議なのは、今のこの気持ち。



2年も付き合っていた彼氏と別れて悲しむはずなのにスッキリとした自分がいる



それはきっと




『なーならどんな決断をしたとしても、絶対に幸せになれるから』




康太のあの一言があったから。



大丈夫、私が決めたこの決断に間違えなんてない…



そんな自信をくれたあの言葉



お礼が言いたい、勇気と自信をくれた、康太に




この時の私は、2年も付き合って別れた彼氏の顔よりも、短時間で私に勇気をくれた康太の笑顔が頭から離れなかった。














< 12 / 13 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop