好人〜入れ代わり〜

ﾟ+.｡すべてのはじまり｡+*ﾟ

―――――――７月１２日
中学３年になって約３ヵ月がすぎた。
『美嘉ぁ！カズ君きたよ！』
アタシは榎山美嘉(えのやま･みか)。カズ君とはアタシの片思いの相手、芹沢和也(せりさわ･かずや)だ。さわやか系のイケメンで他校の女子からも人気がある。しかもやさしい(と思ってる)
『このままだと何もないまま中学校生活おわっちゃうよ！？せめてかわいく“おはよっ”くらい言えば？』
『そんなカンタンに言わないでよ！』
アタシは恋に超オクテだから、先生に頼まれたことを言うだけで精一杯。なのに自分からあいさつなんて‥できないよ…
『あぁぁぁ！美嘉がグズグズしてるからカズ君行っちゃったじゃん』
そりゃ行くでしょ。次体育だもん。って着替えてはやく行かなきゃ
『あ、志亜っあたしらも行かなきゃ！』
『そっか…………あれ、運動着もってきたのにないし…すぐいくから先行ってて』
『わかったぁ』
アタシは自分の運動着をもって先に更衣室に行くことにした。

この決断が、アタシの中学校生活の歯車を、大きく狂わせることになるなんて、このときのアタシは予想してもいなかった。