【短編】恋のおわりとはじまり
「ちょっと、香奈早いっ」

「全然っ。ほら早く早く」

そんなことを言い合いながら歩いているうちに学校についた。

今日は1時間分、文化祭の準備に時間がとってある。

この時間は先生も居ないから、やり放題な感じ。

学級委員がなんかいろいろ言ってるけど、みんな聞く気はないみたいで。

私は昨日の作業の続きをしながら、みんなの話の聞き役にまわっていた。

わいわい言いながら楽しくやって、昨日のことはやっぱ嘘かな、なんて思ったりしても、夏輝を見ると思いだしてしまうわけで。

「で、香奈はどうなの?」

「えっ? 何の話してたっけ?」

ちょっと気持ちがどっかに飛んでってたら、話が分かんなくなった。

「もう。今のは好きな人いないの?って感じの話だったじゃん。聞いてなかったの?」

「ごめんごめん。何? みんな言っていくの?」

「そ。香奈はどう? 好きな人いる?」

昨日失恋したよ。

なんて言えるわけもなくて。

「うーん……私は今いないかな」

嘘だよ。嘘だけど……それ以上言えないし。

「ホントに? やっぱ秀才ちゃんは違うねー」

「そこ秀才とか関係ないよね……」

あははっとみんなで笑う。

やっぱり恋より友情じゃない?
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