【短編】恋のおわりとはじまり
「あれ? 香奈?」

そう、その声の主は夏輝だった。

「……」

私は無言。ていうより無視に近いかも。

「おいっ、無視するな!」

「……うっるさいわね! 何でアンタがいるの?」

あー、だめだ。私、こんなこと言うからダメなんだよ。

でも今更って感じだし、もういいや。

私は空を見上げた。

真っ青な空に真っ白な雲。

夏輝、早くどっかに行ってくれないかなって思ってたら

「さっき通りかかったら見つけたんだよ。だから何となく」

って言う夏輝の声がすぐ近くで聞こえた。

私はびっくりして夏輝と距離を置く。

「おぉっ! すごいなーココの景色」

なんて言いながらそのまま枝に座った夏輝。

そんなに近くに居られても困るんですけどね。

「で? 何しに来たの?」

私は胸のドキドキを落ち着かせて、なるべく感情を入れないような声で尋ねた。
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