【短編】恋のおわりとはじまり
何しに来たの?

それだけを聞いたのに、夏輝は突然黙ってしまった。

「夏輝? どうしたの?」

私は夏輝の様子をうかがう。

「な~つき~……」

「……告白……かな」

夏輝がひとりごとのように言った。

ただし、何を言ったのかはよく分からなかった。

「は?」

私は聞き返す。

すると、さっきまでのはじけてるような様子はどこへ行ったのか、急におとなしくなって黙り込んでしまった。

? 夏輝らしくない。

どうしたかな?

ていうか、こんなとこ誰かに見られたら誤解されるんじゃない!?

私は今、はっと気づいた。

夏輝、絵梨と付き合ってたよね?

絵梨が通りかかったりでもしたら……どうなる?

「夏輝、絵梨と付き合ってるんでしょ? こんなとこ見られたらどうするの?」

「はぁ?」

突然、だまり込んでいた夏輝が訳が分からない、というような顔をしてこっちも見てきた。

「俺、絵梨とは付き合ってないし。てかどっからそんな情報聞いたんだ?」

え、ちょっと待って。

「付き合ってないってどゆこと?」
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