【短編】恋のおわりとはじまり
恋は始まったばかり

HAPPY END☆

は?

「ちょ、待っ」

「もう二度と言わねーからなっ」

そう言った夏輝の顔はまだ真っ赤。

え? 夏輝好きって言った?

私を?

ありえない……はずなのに。

私はもう幸せで、胸がいっぱいで。

「…………私も好きだよ?」

「……なんで疑問形なんだよ」

そう言うことだけは告白でも変わんないのか。

「はいはい、ちゃんと言えばいいんでしょ。私も夏輝が好きですよっ」

そう言いきった私の顔もきっと真っ赤なんだろう。

見られないから分からないけど。

夏輝が私の手をぎゅっと握る。

ただそれだけのことなのに、私の目からは止まったはずの涙がまたあふれ出していた。

「なんで泣くんだよ」

「うるさいっ。いいじゃん、嬉しいんだから」

私も夏輝の手を握りかえす。

それ以上、何も言わなかったけど、お互いの気持ちが手に取るように伝わってきて。

私たちはすごく幸せ。

9月下旬の涼しい風が、私たちを包み込んでいた。
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