【短編】恋のおわりとはじまり
6時を過ぎて。

辺りが暗くなった頃、校内放送が入った。

『校内に残っている生徒へ連絡します。6時をまわりましたので部活や文化祭の準備などを止め、下校してください。繰り返します――――――』

「だって。そろそろ帰ろうか」

私は最後まで残っていた朱希に言った。

他のみんなは塾とか習い事で先に帰った。緋香里もそのひとり。

「そだね。ある程度片付けも終わったし」

と言って机の上のカバンを持ち、玄関へと歩き出した。

校門を出てから、朱希が口を開いた。

「今日も楽しかったねー」

「そうだね。みんなと居ると楽しいもんね」

他愛もないこと。でもそれは“日常”だからできること。

それが嬉しいし楽しい。

「―――でね、梓が―――――」

「え、ホント?」

なんてことを話しているうちに、いつのまにか恋バナに。

朱希は何かと情報集めが得意でいろいろなことを知っている。

「でさぁ、夏輝のことなんだけど―――――」

私の胸がドキッっと反応する。

でも―――――次に聞いた言葉で私は深い穴の底に落ちたような気分になった。






「香奈知ってるかもだけど…――――4組の絵梨と付き合ってるんだって」
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