【短編】恋のおわりとはじまり
――――――え? 嘘……。別れたって言ってなかった?

でもそんな心の中の想いを隠すように、私はすごくびっくりしたように大袈裟に返事をした。

「うっそー! 絵梨とは1回中1で付き合って別れたとか聞いてたんだけど、違ったの?」

ここで嘘って言ってほしい。

でも現実はそんなに甘くなくて。

「うんうん、あたしも最近聞いたんだよね。噂があって確かめたら……みたいな?」

ホント……なんだ。

どうしよう。心の中が真っ暗だよ。

「へぇ……」

私は気の抜けた返事をして、うつむきながら歩いた。

「香奈? どうしたの? 具合でも悪い?」

朱希の心配そうな声も遠くからのようで。

「ううん、大丈夫」

「ホントに? ならいいけど……あ、もう香奈の家じゃん。やっぱ疲れたんじゃない? 家でゆっくり休みなよ?」

「うん――――ありがと。じゃ、また明日ね」

「ん。じゃあねー」

そう言って朱希は自分の家の方へ歩き出した。

私は急いで家に入り、「ただいま」と声をかけて2階の自分の部屋に行った。

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