はじまりの場所
しばらくして忘年会はお開きになった。
食べて飲んで喋って、あっという間に時間は過ぎる。

テーブルに置きっぱなしにしていたハンカチを取りに、元いたテーブルに戻るとさっきの隣の人がいた。さっきは座っていたからわからなかったけど、かなり背が高い。160センチの私が見上げるくらいだから180センチくらい?

「お疲れ様でした。しっかり満喫されましたか?」と声をかけると

「はい、と言いたいところですが少し飲み足りないかな?もう少し飲みませんか?」
まっすぐに目を見てそう言われた。

初対面の人に誘われるなんて初めてかも。いつもなら絶対に断る。元々人見知りする方だし気の利いた話も出来ないし。

だけどもう少し話してみたい、と思う。
さっきの会話が楽しかったし、お酒も少し入っているし、何といっても非日常だし。

「・・・いいですよ」
そう言うだけなのに何だか意識してしまって顔を上げられない。

「それじゃあ上のバーにいます。先に行ってますので来て下さい」
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