はじまりの場所
それから江藤さんとはたびたび食事や飲みに行った。話しているうちに好きな作家が同じことや、学生時代にバスケ部に入っていたこととか共通点がいくつか見つかって話は尽きなかった。

さりげなく気遣ってくれるところも嬉しい。

いつもおだやかで、会社の人の悪口を言わないのもいいなと思う。悪口言う人って自分のこともどこかで言われてる気がするから。

月に一度のペースが気が付けば週に二度くらいになっていて、休日には映画に行ったりドライブに行ったりするようになっていた。

彼女はいないのかなぁなんて気になって、山本さんにさりげなく聞いてみたりしたら

「江藤くん?結構人気あるけど彼女はいないみたいよ。誰にでもやさしいし背も高いし狙ってる人も多いよ〜」

って返事だった。
ふーん、人気あるんだ。だってやさしいもんね。そっか私だけにってわけじゃないんだ。
モヤモヤする。でも何をどうしていいのかわからない。何がモヤモヤするのか。自分の気持ちなのに自分でもわからない。

モヤモヤを抱えながら、それでも一緒に過ごす時間は大切にしたいし楽しみたい。
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