御曹司と愛されふたり暮らし
「ありがとう」

そう言って、彼の右手が私の頬に添えられる。


そして、チュッ……と、彼は私の頬にキスをした。


この前と違って、唇じゃなくて頬だったけれど。

でも、この頬へのキスは、この間の唇へキスしようとした時より、彼からの気持ちをずっと感じられて、とにかく幸せな気持ちになった。



だけど、ふと壁掛け時計を見上げれば、もう一時を回るところだった。


「た、大変! お夕飯! あ、お風呂! 追い炊き⁉︎」

私はもう寝るだけだけど、ハルくんはお夕飯もお風呂もまだだ。早く済ませて寝なきゃ、明日に影響がありそうだ。

すると彼は。

「ありがとう。でも飯はいいや。なんか胸がいっぱいな感じ」

「え、えっと……」

「風呂も、明日の朝シャワーにする。今日は疲れたし、もう寝るよ」

そう言われ、私も「そっか」と頷いた。そうだね、眠い時に寝た方がいい気がする。


……そう思ったのだけれど。



「花菜」

「ん?」


「一緒に寝ようか」



……はい‼︎?
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