御曹司と愛されふたり暮らし
「な、なに言って⁉︎」

「うわ、そんな全力で拒否すんなよ。ちょっと傷つくわ」

傷つくわ、と言いながらも彼は、「まあそりゃダメだよな」と言って、ハハッと笑った。


「も、もう。からかわないでよ」

だけど、私がそう言うと。


「からかってない。あ、でも別に、そういうことしようとか言ってるわけじゃないぜ。添い寝だよ、添い寝」

「添い寝……」

それだって、私にとってはハードルが高すぎる。それに、まだちゃんと付き合ってるわけじゃないのに添い寝なんかしたら、また藤森さんに『いかがわしい』『ふしだら』と言われてしまいそうだ。そして、今度はそれに対して否定できそうにない。



だけど……。




「ど、どっちの部屋でですか……」

そんなふうに聞いてしまって。私は実は本当にふしだらな女なのだろうか。


でも、ハルくんが。


「あは……っ、ははははっ!」

と、楽しそうに、そして、うれしそうに……そう笑ってくれたから。


もう、なんだっていいや。この時だけは、ついそう思ってしまった。
< 101 / 180 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop