御曹司と愛されふたり暮らし
「じゃ、行ってくる」

支度を終えて、仕事に向かおうとする彼を、いつものように玄関で見送る。

でも、今日は。

この間みたいに、彼はくるっと私に振り返って。


「行ってきますのキスするか」

と言ってきて。


え……っと、つい驚いてしまうけれど、当然嫌ではない。


私は彼に近づき、彼も私に顔を近づける。


この間は額に、だったけど、今日の彼は、私の唇に、そっとやさしく、口づけた。


「充電完了。じゃ、行ってきます」

そう言って、彼は玄関を出て、仕事に向かっていった。



ああ、顔が熱い。

キスですら、まだこんなに動揺してしまう。……まあ、添い寝はもう二度もしてしまったんだけれど……。




私、こんなに幸せでいいのかな、ってくらいに幸せだ。


でも私、ハルくんに全然釣り合えてないし。

ハルくんに釣り合うような、極上の女に……というのはなかなか難しいけれど、もっといい女を目指してがんばることはできる。

ハルくんに飽きられないよう、がんばらなくちゃ。
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